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ファイル共有ソフトの利用者に対する発信者情報開示請求等

2022年04月17日
最近、ファイル共有ソフト(BitTorrent,Winny,Share,Gnutella等)を利用し、映像作品などのコンテンツをダウンロードした一般の方から、コンテンツの著作権者から発信者情報開示請求や損害賠償請求を受けたがどのように対応したら良いか、といった御相談を受けることが増えてきています。
 
ファイル共有ソフトは、ファイルのダウンロードと同時に自動的に共有(アップロード)状態となるものが多く、その場合、著作権法上、ダウンロード行為だけでなく、アップロード行為についても著作権侵害(公衆送信権及び送信可能化権)に当たり、民事上刑事上の責任が問われることがあります。
 
このような事案に関する民事上の責任追及は、以下の流れで進みます。
 
まず、著作権者が、解析ツールなどを使用して、ファイル共有ソフトの利用者のIPアドレスを割り出し、そのIPアドレスを保有するプロバイダに対して、発信者情報開示請求を行います。
開示請求を受けたプロバイダは、そのIPアドレスに係る契約者に対して、開示に同意するかどうかの意見照会を行います。
 
契約者又は発信者が発信者情報の開示に同意した場合、通常、プロバイダは、著作権者に対して住所氏名等の発信者情報を開示します。
これに対し、契約者又は発信者が開示に同意しなかった場合、プロバイダは、プロバイダ責任制限法という法律に定められた開示の要件(/害情報の流通によって開示請求者の権利が侵害されたことが明らかであること、かつ、発信者情報が開示請求者の損害賠償請求権の行使のために必要であることその他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があること)に該当するかどうかの判断を行います。該当すると判断した場合は発信者情報を開示し、該当しないと判断した場合は発信者情報を開示しません。
プロバイダが発信者情報の開示を行わなかった場合、著作権者は、開示を求めて裁判所に発信者情報開示請求の民事訴訟を提起することがあります。その訴訟の判決において開示請求が認められた場合、プロバイダは、発信者情報を開示します。
 
上記の手続きを経て、著作権者に発信者情報が開示された場合、その後、著作権者は、判明した発信者情報をもとに、その発信者に対して、内容証明郵便等で、著作権侵害に基づく損害賠償請求や侵害行為の差止請求等を行います。
 
前述のとおり、多くのファイル共有ソフトは、ファイルのダウンロードと同時に自動的にアップロードも行います。そのため、著作権者が当初請求する損害賠償請求額は、ダウンロード行為に係るものだけでなく、アップロード行為に係るものについても計算されるため、対象である著作物が人気作品の場合、計算上、数千万円に上ることがあります。
 
もっとも、著作権者と示談交渉を行うことによって、賠償額を減額してもらうことは可能です。
著作権者との示談交渉は、御本人で行っていただくことも可能ですが、弁護士を代理人に立てた上で、著作権法など関連法令に基づく適切な賠償額まで減額してもらうことも可能です。
 
上記のとおり、プロバイダから発信者情報開示に関する意見照会書が届いた段階で、いずれ著作権者から損害賠償請求等がなされることが予想されます。
そのため、その段階で、弁護士に御相談いただき、どのように対応していくかを御判断されることをお勧めします。
 
最大の防衛策は、ファイル共有ソフトの利用を行わないか、利用するとしても、著作権に注意し、他人の著作物であるファイルのダウンロードやアップロードを行わないということに尽きます。
コンピュータウイルスやマルウェアなど、インターネットセキュリティの観点からも、ファイル共有ソフトの利用は慎重に行わなければなりません。