コラム

福井ひかり法律事務所の弁護士によるコラムです。

コラム一覧

「10年経つまでは半人前」

先日、文研出版さんから出版された『プロフェッショナルな人たちのお仕事図鑑 4巻 みんなの夢をサポート編』の取材を受けました。
https://honto.jp/netstore/pd-book_31956551.html
 
この「お仕事図鑑」は、さまざまな職業で活躍している20代〜40代の人たちを取材し、「どうやったらなりたい職業に就けるのか」について、分かりやすい紙面構成と豊富な資料と写真で示すという企画であり、私は、弁護士という仕事についてお話しさせていただきました。
 
取材の際、記者の方から「仕事をする上で大事にしていることは何ですか?」と聞かれました。

私は、大きく次の5つをお答えしました。
_栄造砲覆辰督瓦戞謙虚に学び続けること
依頼者に対して早期に安心と笑顔を提供すること
0様蠎圓紡个靴徳甦に選択肢とそれぞれの見通しをお示しし、依頼者の自己決定を十分ならしめること
ぐ様蠎圓販呂鮃腓錣擦動様蠎圓量ね茲鬚茲衫匹い發里慂僂┐討いこと
ゼ匆饑亀舛亮存修帽弩イ垢襪海
 
今回は、,砲弔い董△話しさせていただきます。
 
,亡悗靴董∋笋大事にしている言葉があります。「弁護士は10年経つまでは半人前」という言葉です。これは、私が司法修習生の時代に、司法修習の指導弁護士であり、弁護士登録後も事務所の上司として9年間御指導いただいた内上和博弁護士から言われた言葉です。成長が一次関数だとすると、5年経つまでは4分の1人前ということになりますし、成長が一次関数でないとすると、10年経ったら一人前であるとも言えません。
 
デジタル庁が運営しているe-gov法令検索によると、令和4年11月15日現在、法律が2092件、政令が2263件、内閣府令と省令が4266件あるそうです。
https://elaws.e-gov.go.jp/registdb/
 
一人の弁護士がこれだけの法律の全てに精通することは不可能であり、弁護士といえども知らない法律の方が圧倒的に多いのです。
 
また、弁護士としてよい仕事をするためは、法律の知識だけではなく、「証拠から何が言えるのか」を説明する力、「ある事実が存在する場合、そこから何が言えるのか」を説明する力、依頼者や相手方の心情や判断基準を理解する力が必要であり、それらは、自然科学や社会科学の知識、取引や商品やサービスに関する知識、業界に関する知識、社会の現状についての知識、人間性などが求められます。
 
そして、法律の内容も、科学の内容も、取引や商品やサービスの内容も日々変化しています。
 
つまり、「自分の知識は古くなっていないか」「まだ調べるべき知識はないか」「今自分は間違いを犯していないか」と常に自問自答し、常に調べながら仕事をする必要があります。
 
こうした観点からは、「10年経つまでは半人前」のほかに、もう一つ、心に残る言葉があります。それは、「そこで学ばせてもらうな」という言葉です。
 
これは、とある司法書士の先生が座右の銘にされている言葉です。プロである以上、依頼を受けた案件を通じて自分が勉強させてもらうべきではなく、あらかじめ勉強しておき、一つ一つの案件について最高の法的サービスを提供できなければならないという趣旨です。もちろん、あらかじめすべての知識を網羅することは、能力的にも専門分化と分業の観点からも不可能に近いため、これは心構えを述べている言葉です。
 
もちろん、「事実は小説より奇なり」ですし、書籍からすべてを学べるわけではありませんが、クライアントに対してプロフェッショナルとして法的サービスを提供するために、常日頃より精一杯学び続けなければなりませんし、実際に案件を受任した際には、さらに追加して深く研究しなければなりません。
 
「弁護士は10年経つまでは半人前」という言葉も「そこで学ばせてもらうな」という言葉も「世の中は知らないことの方が多い」「かつて正しかった知識が今現在も正しいとは限らない」という前提の下、クライアントのために謙虚に学び続ける重要性を教えてくれる言葉です。
 
今後も、「世の中は知らないことの方が多い」「かつて正しかった知識が今現在も正しいとは限らない」という前提の下、「自分は今間違いを犯そうとしているのではないか?」と憶病に慎重になって、クライアントのために謙虚に学び続けたいと思います。