●一般的な弁護士報酬の種類
弁護士報酬には、大きく分けて、
・手数料
・着手金
・日当
・時間制報酬
・成功報酬金
という種類があります。
個別の案件ではこれらを組み合わせて報酬を決めますが、大きく分けると、
・着手金+日当+成功報酬金
・時間制報酬+成功報酬金
・時間制報酬のみ(成功報酬金なし)
の3つが主流です。
●それぞれの弁護士報酬の位置付け及び算定方法
成功報酬金は、文字どおり、弁護士の委任事務の追行の成果(結果)に応じていただく報酬です。
結果が出た時点でお支払いいただくものです。
経済的利益を算定できる事件であれば、その経済的利益の額に一定のパーセンテージを積算(掛け算)した額となり、経済的利益に必ずしも換算できない事件であれば、あらかじめ一定の金額を定めておきます。
イメージとしては、成果(結果)を出して依頼者に貢献した場合(依頼者が利益を得た場合)には、依頼者が得た利益に対して一定の分け前をいただくというものです。
着手金は、委任事務の結果にかかわらず、委任事務をすること自体の対価としてお支払いいただく報酬です。
委任事務への着手に先立ちお支払いいただくものです。
イメージとしては、手間賃です。
この着手金の算定方法には、大きく分けて、
・その事件の経済的利益の額に一定のパーセンテージを積算(掛け算)する方法
・その事件の委任事務を行うにあたって要すると時間や労力を想定して金額を決める方法
があります。
時間制報酬は、委任事務の結果にかかわらず、委任事務をすること自体の対価としてお支払いいただく報酬です。まさしく手間賃です。
時間制報酬は、弁護士の能力に基づいて1時間当たりの単価を決め、委任事務をした時間にその単価を積算(掛け算)した額となります。
この場合、報酬の上限額を設定しておく上限付き時間制報酬方式と上限を設けない方式があります。
また、時間制報酬以外に成功報酬金を設定しない場合(成功報酬金の額を時間単価で考慮する場合)と時間制報酬に加えて成功報酬を設定する場合があります。
受任の際と委任事務がある程度進行した時点の2回に分けて一定額を預け入れていただき、1か月ごとに当月の委任事務時間分を預り金から控除していくこととなります。
●当事務所の報酬の体系
結論から御説明しますと、当事務所では、原則として、
上限付き時間制報酬+成功報酬金
としています。
ただし、例外として、
・見積もった時間制報酬額が「一定の金額」以下である場合は、その一定の金額を着手金とする着手金及び成功報酬方式とし、
・自己破産、民事再生手続、会社更生手続、刑事弁護事件などの事件では、金額にかかわらず、着手金及び成功報酬方式としています。
そして、上記の着手金方式とする「一定の金額」は、依頼者の属性に応じて、次のとおりとしています。
非事業者たる個人 |
事業者たる個人 |
資本金300万円以下の法人 |
資本金300万円超の法人 |
33万円 |
66万円 |
66万円 |
99万円 |
この33万円は、政令(民事執行法施行令)が定める標準的な世帯の必要生計費の額であり、この金額までであれば、事業をしていない個人の方に着手前に御負担いただけると考えているためです。
事業を営む個人や法人は、規模に応じてその2倍ないし3倍までの金額を着手前に負担いただけるのではないかと考えています。
●当事務所が上限付き時間制報酬方式を採用する理由
理由は、大きく3つです。
最大の理由は、大きな事件であればあるほど、依頼者にメリットがあるためです。端的に言うと、事件が大きくなればなるほど、時間制報酬の上限額は着手金の額に比べて小さくなるためです。
例えば、経済的利益の大きさに対して一定の割合をかけた金額を着手金とする場合、旧弁護士会報酬規程に従いますと、200万円の貸金の返還を請求する事件の着手金は16万円、2000万円の貸金の返還を請求する事件の着手金は109万円であり、約6.8倍となりますが、実際に要する時間と労力は6.8倍にはならないのがほとんどです。
他方、時間制報酬方式とする場合、200万円の貸金の返還を請求する委任事務に8時間がかかるとして、2000万円の貸金の返還を請求する委任事務に16時間がかかるとした場合、2000万円を請求するときの時間制報酬の額は、200万円を請求するときの金額の2倍に収まることとなります。
このように、金額の大きい事件になればなるほど、上限付き時間制報酬方式は、依頼者にとってメリットが大きくなります。
2つ目の理由は、理論的なものです。
着手金も時間制報酬も、手間賃です。すなわち、委任事務をした時間・労力に対してお支払いいただくものです。上述のとおり、事件の金額面での大きさと委任事務の時間・労力は比例しません。つまり、手間賃であるならば、事件の金額面での大きさではなく、委任事務の時間と労力を基準として算定すべきことになります。
弁護士報酬には、着手金と時間制報酬とは別に、事件の成果(結果)の大きさ・依頼者の利益の大きさを基準とする成功報酬金があるわけですから、事件の金額面の大きさは(厳密にいえば、その分の成果・利益が出れば)成功報酬金として織り込み済みです。
3つの目の理由は、なぜ一部の事件では着手金とするか(なぜ全件で上限付き時間制報酬としないのか)についてのものです。
上述のとおり、上限付き時間制報酬方式は、着手金方式に比べて、依頼者の経済的負担の面でも理屈の面でも優れた報酬方式です。
しかしながら、全ての執務時間を専用のシステムに入力し、集計するという事務コストが発生します。1分の電話、5分での短い文書の確認などについても入力作業を要し、毎月集計作業を要します(この事務作業に対しては時間制報酬が発生しないのはもちろんです)。この事務コストは、報酬の上限額が小さい事件では相対的に非常に高コストとなります。この事務コストがなくなれば、弁護士がより迅速かつ集中的に委任事務の処理をすることが可能となります。
そこで、時間制報酬の上限額を算定した場合に、その上限額が標準的な世帯の必要生計費として国が定めた金額以下となる場合には、例外的に着手金とさせていただいています。
また、倒産関係の事件は、依頼者の債務を減額又は免責させる手続です。弁護士報酬も依頼者の債務ですから、手続を行う前にあらかじめ全額お支払いいただかない限り、減額や免責の対象となってしまいます。このため、これらの事件では、あらかじめ一定額をお支払いいただく着手金方式とさせていただいています。
刑事弁護の事件は、身体を拘束されていることも多く、本人ではなく御家族などから依頼を受けることも多いため、金銭の精算などを簡便にするとともに迅速な事件対応に集中できるよう、着手金方式とさせていただいています。