2021年07月20日
みなさん、こんにちは。弁護士の三好大介です。
私事ではありますが、私は、2015年から2018年にかけて、約2年半、日本企業のオーストラリア子会社に赴任しておりました。赴任する前は日本企業の法務部門で企業内弁護士として勤務しており、オーストラリア子会社に赴任後も、現地で法務の仕事にも携わっておりました。
日本の会社と、オーストラリアの会社との、それぞれの法務部の最大の違いは、オーストラリアの会社では、法務部員は、基本的に全員が弁護士有資格者であるということでした。
日本では、最近、弁護士資格を持っているけれども、法律事務所ではなく、一般企業の法務部などで働く、いわゆる企業内弁護士が増えています。2020年6月現在のデータでは、日本には2,629名の企業内弁護士が働いています。これは、日本の弁護士全体の数に占める割合としては、約6.2%です(いずれも日本組織内弁護士協会調べ)。
これに対し、オーストラリアの会社の法務部で働く社員たちは、ほぼ全員が弁護士有資格者でした。弁護士でない社員が法務を担当することはあり得ないといった感覚で、オーストラリアの同僚たちも、自分たちのことを、その会社のエンプロイー(社員)ではなく、ロイヤー(法律家)と言っていました。アメリカでも同様であると聞きます。
私が、オーストラリアの同僚たちに、日本の会社の法務部には弁護士有資格者がいないことが多く、いても数名しかいないということを話すと、それでどうやって大企業の複雑な法務を回すのかと不思議がられてしまいました。
日本の会社、とりわけ大企業では、弁護士有資格者でない総合職や一般社員が法務を担当し、数年後には違う部署に異動しているというパターンが多いと思います。
法務に限らず、他の職種についても同様で、これは、日本の会社において、いわゆるメンバーシップ型採用が採られていることが一つの要因ではないかと思います。一度その会社のメンバーになった社員は、よほどのことがない限り解雇されないし、社員も転職もあまりせず、定年まで複数の部署や職務を経験しながら勤めあげる、というのが長らく日本企業の慣行であった一つの採用形態ではないでしょうか。
これに対し、オーストラリアでは、ジョブ型採用、すなわちその会社に必要な職務や、空いた役職がまず先にあって、それに合う人材を後から採用するという方法が採られています。逆に言えば、その職務や役職が必要なくなった場合は、日本と比べると割と簡単にその職務や役職に就いている社員を解雇するといったことが行われます。
どちらの採用形態が、会社、社員そして社会全体にとって「三方よし」となるのかは、労働経済学などでも様々な議論があるところです。
ただ、日本の会社の法務部が、オーストラリアの会社の法務部のように、社員全員が弁護士有資格者であるような時代が来るかというと、私としては、日本の弁護士全体の数が今よりさらに増えても、そうはならないと考えます。それは、日本とオーストラリアでの、弁護士という職業の社会における位置づけの違いもさることながら、上記のような社員の採用形態の違いも一つの大きな理由であるからです。
もっとも、法務部の社員全員が弁護士有資格者であっても、顧問弁護士や社外の法律事務所との協働や連携が不要となるわけではありません。企業内弁護士と外部弁護士では、それぞれの専門分野が異なり、また、企業法務部としても、外部の知見が必要となる場面があるからです。法務部全員が弁護士有資格者で構成されるオーストラリアの会社でも、外部の法律事務所と顧問契約を結んでおり、顧問弁護士と協働していました。
当事務所においても、さまざまな企業様から顧問契約をいただき、顧問企業に対してリーガルサービスを御提供しております。私としても、日本国内での企業内弁護士としての経験や、外国企業での勤務経験及び当事務所における執務経験を活かし、顧問企業の皆様に卓越したリーガルサービスを御提供できるよう、研鑽を積んでまいります。
私事ではありますが、私は、2015年から2018年にかけて、約2年半、日本企業のオーストラリア子会社に赴任しておりました。赴任する前は日本企業の法務部門で企業内弁護士として勤務しており、オーストラリア子会社に赴任後も、現地で法務の仕事にも携わっておりました。
日本の会社と、オーストラリアの会社との、それぞれの法務部の最大の違いは、オーストラリアの会社では、法務部員は、基本的に全員が弁護士有資格者であるということでした。
日本では、最近、弁護士資格を持っているけれども、法律事務所ではなく、一般企業の法務部などで働く、いわゆる企業内弁護士が増えています。2020年6月現在のデータでは、日本には2,629名の企業内弁護士が働いています。これは、日本の弁護士全体の数に占める割合としては、約6.2%です(いずれも日本組織内弁護士協会調べ)。
これに対し、オーストラリアの会社の法務部で働く社員たちは、ほぼ全員が弁護士有資格者でした。弁護士でない社員が法務を担当することはあり得ないといった感覚で、オーストラリアの同僚たちも、自分たちのことを、その会社のエンプロイー(社員)ではなく、ロイヤー(法律家)と言っていました。アメリカでも同様であると聞きます。
私が、オーストラリアの同僚たちに、日本の会社の法務部には弁護士有資格者がいないことが多く、いても数名しかいないということを話すと、それでどうやって大企業の複雑な法務を回すのかと不思議がられてしまいました。
日本の会社、とりわけ大企業では、弁護士有資格者でない総合職や一般社員が法務を担当し、数年後には違う部署に異動しているというパターンが多いと思います。
法務に限らず、他の職種についても同様で、これは、日本の会社において、いわゆるメンバーシップ型採用が採られていることが一つの要因ではないかと思います。一度その会社のメンバーになった社員は、よほどのことがない限り解雇されないし、社員も転職もあまりせず、定年まで複数の部署や職務を経験しながら勤めあげる、というのが長らく日本企業の慣行であった一つの採用形態ではないでしょうか。
これに対し、オーストラリアでは、ジョブ型採用、すなわちその会社に必要な職務や、空いた役職がまず先にあって、それに合う人材を後から採用するという方法が採られています。逆に言えば、その職務や役職が必要なくなった場合は、日本と比べると割と簡単にその職務や役職に就いている社員を解雇するといったことが行われます。
どちらの採用形態が、会社、社員そして社会全体にとって「三方よし」となるのかは、労働経済学などでも様々な議論があるところです。
ただ、日本の会社の法務部が、オーストラリアの会社の法務部のように、社員全員が弁護士有資格者であるような時代が来るかというと、私としては、日本の弁護士全体の数が今よりさらに増えても、そうはならないと考えます。それは、日本とオーストラリアでの、弁護士という職業の社会における位置づけの違いもさることながら、上記のような社員の採用形態の違いも一つの大きな理由であるからです。
もっとも、法務部の社員全員が弁護士有資格者であっても、顧問弁護士や社外の法律事務所との協働や連携が不要となるわけではありません。企業内弁護士と外部弁護士では、それぞれの専門分野が異なり、また、企業法務部としても、外部の知見が必要となる場面があるからです。法務部全員が弁護士有資格者で構成されるオーストラリアの会社でも、外部の法律事務所と顧問契約を結んでおり、顧問弁護士と協働していました。
当事務所においても、さまざまな企業様から顧問契約をいただき、顧問企業に対してリーガルサービスを御提供しております。私としても、日本国内での企業内弁護士としての経験や、外国企業での勤務経験及び当事務所における執務経験を活かし、顧問企業の皆様に卓越したリーガルサービスを御提供できるよう、研鑽を積んでまいります。