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福井ひかり法律事務所の弁護士によるコラムです。

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民事訴訟で勝ったとして...

去年、安心して生活できる居場所がない10代の子どものための「子どもシェルターふくい」の設立支援をさせていただいたことをきっかけに、行政/民間による家庭の支援活動に取り組む中で、改めて養育費の問題について考えるようになりました。
 
現状、養育費の受給率は低く、
・日本全体だと約3割、
・比較的受け取れていると言われる福井県でも、母子世帯で約6割、父子世帯だと約3割
に留まっています。
 
離婚相手が養育費を支払わない場合、相手の預貯金や給料を差し押さえることになるのですが、従来は、相手から取りにくかったという事情がありました。
というのも、預貯金であれば銀行及び支店名の、給料であれば勤務先の情報が必要になり、離婚相手のそういった情報が分からないことが多々あったからです。
 
この点、最近民事執行法が改正されて、養育費の場合、支払いをしない相手の情報を開示させる手続が強化され、市町村や日本年金機構等から相手の勤務先の情報を取得できるようになり、これは大きな前進だと思います。
 
ただ、相手の勤務先の情報取得は養育費等一部の債権の場合のみ申立て可能で、例えば詐欺の被害に遭った方が使える手続きではありません。
 
そもそも、相手に支払義務があるにもかかわらず、債権者が頑張って相手の財産や勤務地を探さなければならないというのはどうなのかとも思います。
 
例えば中国では、お金を払えという判決が出て、相手に支払能力があるにもかかわらず支払わないと、鉄道、飛行機等に乗れなくなるなど様々な不利益を受けます(最高人民法院広告2017年7号)。
これは(少なくとも日本では)行き過ぎとしても、現状、逃げ得を相当許してしまっていることからすれば、相手(債務者)の財産を開示させる手続きの更なる拡張や、支払いをしない相手に対する制裁をもう少し重くするといった制度設計は考えるに値するのではないかと思います。
 
国家機関が情報を把握することの危険性には重々留意しつつ、情報を有効活用する視点も重要ではないかと思うこの頃です。